ことばのほとり

新規テミンペンのゆるいオタ日記

テヨン『Looking for TY』『Searching for TY』感想|TYとの遭遇、そして希望

テヨン君2ndソロアルバム『TAP』リリースに先駆けて公開された2つの映像作品『Looking for TY』『Searching for TY』について。

 

テヨン『Looking for TY』『Searching for TY』感想|TYとの遭遇、そして希望

映画「未知との遭遇」「華麗なるギャツビー」。どちらも未見の状態ですが、『Looking for TY』『Searching for TY』には恐らくこれらの作品が関連してると思われるので、邪道ながら紹介サイトを参照にしつつ感想を述べていきます。

『Looking for TY』

www.youtube.com

1分にも満たない超短編『Looking for TY』では、無為な日々を過ごすテヨンと、夜に彼がある場所で未知なる存在(仮にTYとします)と遭遇する一幕が描かれています。

https://www.youtube.com/watch?v=wa4KBmX-CDE

そして以下は映画「未知との遭遇」のあらすじです。

大規模な停電の一環として調査をしていたインディアナの電気工ロイ・ニアリー(リチャード・ドレイファス)は、UFOとの接近遭遇を経験します。そのUFOは、彼のトラックの上を飛び越え、明るい光で彼の顔の側面を軽く焼きます。UFOは、他の3つのUFOと合流し、ニアリーと3台の警察車両に追われますが、宇宙船は夜空に飛び去ります。ロイはUFOに魅了され、彼の妻であるロニー(テリー・ギャー)を不快にさせます。
引用:https://www.imdb.com/title/tt0075860/plotsummary/

上記になぞらえて考えるとこのUFOに魅了されたロイがテヨンです。

また、TYのビジュアルが「華麗なるギャツビー」のヒロイン デイジーをオマージュしていることも重要なポイントです。

左:映画『華麗なるギャツビー』予告編1【HD】 2013年6月14日公開 - YouTube
右:https://www.youtube.com/watch?v=wa4KBmX-CDE

The Great Gatsby(筆者注:華麗なるギャツビーの原題)は、決して手に入ることのない夢を追い求めたある男の物語として知られる作品である。
その夢の重要な象徴として描かれているのが、主人公ギャツビーの永遠の思い人、デイジーだ。しかしこの作品において、デイジーという存在は、人格を持った一人の女性というよりも、極端な言い方をすればギャツビーの夢の実現に必要な一要素に過ぎない存在として描かれていた。
引用:https://www2.dokkyo.ac.jp/esemi006/rpt06/ogasawara.htm

つまりTYがテヨンの夢の象徴であることが示唆されているのです。

『Searching for TY』

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公開日は前後しますが時系列的に『Looking for TY』の後日譚に位置するであろう『Searching for TY』。こちらはアルバム『TAP』収録曲『APE』の映像作品でもあります。

ちなみに『APE』についてテヨン自身はインタビューでこのように語っています。

私の率直な考えを移して最も直説的に表現した曲です。少し攻撃的な時の私を代弁した曲だと思えばいいです。しかし、その攻撃性は『APE』を作る時だけあったし、その後はまた別の感情を感じながら新しい曲を作りました。
引用:NCT 태용 인터뷰 | Hypebeast.KR | 하입비스트

(APEはスラングで「(サルのように)異常に興奮する、取り乱して大騒ぎする、はしゃぎ回る」「ひどく怒る」「夢中になる」「調子が狂う」の意味があるそう)

無職テヨンが「未知との遭遇」!?

さて、『Looking for TY』でTYに魅了された28歳無職兼ミステリーコミュニティ管理者のテヨン。彼がTYを熱心に捜索する展開は映画「未知との遭遇」との類似点がいくつか見受けられます。

①未知なる存在に夢中になるあまり家族や社会といったコミュニティから外れてしまう。
②未知なる存在を追う組織に拉致される。
③苦労の末、未知なる存在と出会う。
(未知なる存在とは「未知との遭遇」では地球外生命体、『Searching for TY』ではTYに該当)

また、TYレーダーも「未知との遭遇」に登場したものと似ています。

https://www.youtube.com/watch?v=6RI4R3Wwob4

https://www.youtube.com/watch?v=dSpQ3G08k48

華麗なるギャツビー」のキャラクターがまさかの客演!?

実は『Searching for TY』では「華麗なるギャツビー」のキャラクターに見立てたエキストラをわざわざ名札付きで登場させています。

https://www.youtube.com/watch?v=6RI4R3Wwob4

James:「華麗なるギャツビー」の主人公ジェイ・ギャツビーの本名
Daisy:ギャツビーが追い求める運命の女性
(Kevin:競走馬ザ グレーギャツビーの入厩した厩舎)

面白いのはDaisy(デイジー)役の方のセリフ「TYって何?世の中にそんなものないわよ」。『Looking for TY』で出現したTY=夢の象徴=デイジーの口から「現実を見て」と言わせるのは皮肉が効いています。

https://www.youtube.com/watch?v=6RI4R3Wwob4

無職テヨンが「未知との遭遇」!!

『Searching for TY』のラスト、ようやくTYと出会えたテヨン。
TYはデイジーをオマージュした姿ではなく発光体としてテヨンの前に現れます。

https://www.youtube.com/watch?v=6RI4R3Wwob4

特筆すべきはバックで流れるピアノのメロディ。「未知との遭遇」ではピアノの音階によって地球外生命体とコミュニケーションをとります。

「ピアノのキー」も、重要な象徴として登場する。物語の中で、主人公のロイは、地球外生命体とのやりとりにおいて、手に持ったピアノのキーを使って意思疎通を行う。このピアノのキーは、自己表現やコミュニケーションの道具として、また、ロイ自身が未知の存在との交流によって内面の成長を遂げていく過程を示すモチーフとして描かれている。
引用:映画『未知との遭遇』の見どころ30選! "もう一度、宇宙人に会いに行こうか。"

これを踏まえると、あのラストシーンももっと深く踏み込めそうです。

テヨンの夢の象徴であるTYと音楽を通じてコミュニケーションをとる、すなわちアーティストであるテヨンの音楽活動そのものと考えられます。
さらに言えば、TYは夢の象徴のみならず、アーティストにとっての聴衆、大衆、新しい分野への挑戦という、あらゆる「未知」を内包している存在なのかもしれません。

そして希望

少し話が飛びますが、テヨンが所属するBG NCTは無限拡張というコンセプトのもとメンバーの増員、グループ、ユニットのデビューを繰り返してきました。しかしその無限拡張も今年2月にデビューを迎えたNCT WISHをラストに締め括られます。

そんなNCT WISHのコンセプトムービーではテヨンがTYレーダーのような機械で音階を頼りにメンバーを捜索していく様子が描かれています。

www.youtube.com

ちなみに、各チャプターの最初に表示される数字の羅列は実際の地理座標と対応しており、これは「未知との遭遇」と同じです。

https://www.youtube.com/watch?v=f8Q9Cop0Tgo

長調の五音の音楽的フレーズ。科学者たちはそのフレーズを宇宙に放送しますが、その応答に困惑します: seemingly meaningless series of numbers (104 44 30 40 36 10) (104 44 30 40 36 10)という意味不明の一連の数字が何度も繰り返されます。地図製作のバックグラウンドを持つラフリンがそれを地理座標のセットと認識し、それがワイオミング州のムーアクロフト近くのデビルズタワーを指していることに気づきます。
引用:https://www.imdb.com/title/tt0075860/plotsummary/

ここで描かれているテヨンこそWISHメンバーにとってのTY、というのはちょっと飛躍がすぎるかもしれませんが。