ことばのほとり

新規テミンペンのゆるいオタ日記

テミン『Guilty』MV感想|再演

『Guilty』がテミン入隊直前にリリースされた3rd mini album『Advice』のタイトル候補であったなら、多分そこまで遡らないといけない気がする。

 

テミン『Guilty』MV感想|再演

テミンの時系列を一部書き出すと

2021/5/18|3rd mini album『Advice』リリース
2021/5/31|テミン入隊
2023/4/4|テミン除隊
2023/4/22-23|単独ファンミーティング「RE:ACT」開催
2023/10/30|4th mini album『Guilty』リリース

改めて除隊→ファンミのタイトさが恐ろしい。

「RE:ACT」はそのまま「再び演じる」ってことで解釈していいのかな。

兵役期間後期〜SHINee『HARD』カムバ辺りまでは私がテミンを追えていないので(今ものんびりだけど)、いまいち情報が定かではないがそう仮定して話を進めていく。

アーティスト「テミン」はこうしてまた舞台にあがった

『Advice』リリース時すでに構想があったかは定かじゃないけど、おそらくファンミの「RE:ACT」と『Guilty』は繋がっている。

以下は下記のインタビュー記事からの引用

www.nme.com

「私はキャラクターを分けるのが好きです。それは、人物とキャラクターを分ける俳優のようなものです。」と彼は説明します。「ステージの外では、私は小さな子供のように、より遊び心があってシンプルだと思います。」(中略)

この二分法を回想しながら、1998年の風刺ドラマ『トゥルーマン·ショー』と自分の人生を比較する。「映画の中で、ジム・キャリーはみんなが最後まで彼を見ていたことに気付きます。 私は12歳の時にSM(エンタ)に来て、トレーニングをしていた時期やデビュー、成長していた全ての瞬間が多くの人に共有され、見てもらえたので共感します。」と説明する。(中略)

その音楽からの休憩中(兵役期間中※ブロ主注釈)に、彼は人々が経験から学ぶことに気づきました。「私は異なる趣味、異なる食べ物、異なるレストラン、異なる休暇スポットに興味を持っていることを知りました。」と彼は言います。「リラックスする瞬間を持つことは、アーティストのテミンではなく、テミンのように感じる機会でした。

つまり12歳の時にSMの扉を叩いたことをきっかけに、テミンは『トゥルーマン·ショー』のジム・キャリーよろしく(ほぼ)常にアーティスト「テミン」を演じる(あるいは鑑賞される)こととなり、兵役期間中は役を降りてただのテミンに戻ったものの、再び私達の前でアーティスト「テミン」を演じる=「RE:ACT」することを決めた。

そして「RE:ACT」したテミンが己の半生を演じたのが『Guilty』なんだと思う。

一幕

実際にMVを追いつつ見ていく。(画像は別途表記ない場合を除き全てTAEMIN 태민 'Guilty' MV - YouTubeより)

舞台は山奥の収監施設のような場所。

壁には子供の落書き、脱ぎ捨てられた洋服や靴は過去に誰かがここに居たこと、そして今はもう居ないことを示す。

暗く無機質な廊下を逃げ惑うテミンは1つの扉を開ける。そこに居たのは親密な雰囲気の少年と少女。

また別の扉を開けるが、そこには誰も存在せず暗闇が広がるだけ。

場面は変わり少年達がパイプベッドが並ぶ部屋で枕を投げ合い遊んでいる。無数に飛び交う羽根は天使を連想させ無邪気さの中に不穏さを滲ませる。その様子をテミンは扉口から静かに眺めている。

書くのもちょっと野暮な気がするんだけど、要はこの収監施設はSMの練習生が通う練習室で、部屋の1つ1つにはテミンが見てきた(あるいは経験した)練習生達の情景が映し出されている。

KPOPアーティストを目指す練習生達がいかに過酷な日々を過ごすか、一般人の私は想像しかできないけど、YG宝石箱やテミンやキーさんの昔話から推察するに本当に厳しいものなんだろう。なんていうか、単に無情な生き残りレースではなく、そこに友情や交流があるから余計に酷だなと思う。

そして、その残酷さに耐えかねたテミンは逃亡を決意する。

テミンの逃亡は絡みつく無数の腕に阻まれる。
しかし、実はその腕はテミン自身のものだった。
テミンの逃亡を立ち止まらせたものは、テミン自身だった。

オーディションで「歌手になるためには死ぬ気で頑張る」と宣言したテミン。
アーティストとして成功したいという思いが募り過ぎて同じ練習生から怖がられていたテミン。
テミンこそがテミンをアーティストの道に縛りつけた。

https://www.youtube.com/watch?v=_3pI3v_M8kg

皮肉なことにこの葛藤と慟哭さえテミンはダンスとして芸術にしてしまう。
そこにテミンのアーティストとしての業があらわれている。

結局彼は自分自身の業から逃げられなかった。

心を殺す術を叩き込まれ、芸能事務所の商品としてパッケージされるテミン。

舞台がオペ室になっているのがなんともブラックだよ…

で、問題のシーン。公開当初、兵役期間中、精神疾患悪化させた人に何させてんの!?と私が憤慨したとこ。

MV的には前後するけど、本筋の時系列としてはこちらが次のシーンだと思う。

これまで登場した少年達とは違うキチンとした制服を着用している彼らは、まあ、デビュー候補生だよね…

テミンはここで誰かを蹴落とす必要に迫られる。
だってデビュー枠は限られているから。車に乗れる人数には制限があるから。

ミュージックビデオの中のテミンは絶対的な監視者がいる状況で強制的に友達を害することになる。 本人のせいで友達が皆いなくなったことに気づき衝撃を受けたテミンはついにヴィランになる。
引用:[현장EN:]클리셰 깨기 or 강화…태민의 과감한 한발 '길티'

二幕

この場合、ヴィラン(悪役)は罪を犯した者を指すのではなく、他人に罪を犯させる者のこと指すと思う。

ヴィラン化したテミンは人々を誘惑し扇動し、まるで邪教の教祖のように崇められ、炎の中で踊り狂う。


正直この場面は表層だけ見るとアーティストとファンの構図に当て嵌められるんだけど、心に諸々弊害が生まれるから、しない。

ただこのシーンは好き。水没した瓦礫(おそらく収監施設の残骸)と、水面に浮かぶ板切れの上で踊るテミン。板切れの心許なさ、赤く照らされる血のような水面。ただただ美しい。

ダンスのフィナーレとともに、長い夢から覚めるようにしてテミンは現実に引き戻される。

トゥルーマン·ショー』はラストにトゥルーマンが虚構の舞台から降りることで幕切れとなるが、テミンが覚束ない足取りで進む先にはライトがついた車が1台止まっている。

そしてきっと中にはウィスヒョンが乗っていてテミンにこう告げる「テミナ、明日のステージのことなんだけど…」

まとめ

そんな感じで見るたびにいろいろ解釈できて味わい深いのが『Guilty』のいいトコだと思う。

 

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